つい最近、人間の生命の設計図とも言えるゲノム(全遺伝情報)完全に解読されました。
1953年の遺伝子2重らせん構造の発見からちょうど50年。
1990年の解読着手以来、約12年半をかけて、DNA(遺伝子)を構成する基本物質である4種類の塩基、
アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)が織りなす約28億3千万文字の遺伝暗号を読み切ったことになります。
この計画に参画した米国、英国、日本、フランス、ドイツ、中国など
6カ国のこれに携わった研究陣の努力による快挙と賞賛できるでしょう。
今後は、ゲノムに書き込まれた遺伝子が作る機能の解明が課題として残されています。
生命研究が進歩すると同時に、患者一人ひとりの遺伝体質に対応した医療の開発が期待されます。
さて、DNAの端の部分は、TTAGGGという6つの塩基の数十から数千の繰り返しで構成されていると言われています。
すなわちテロメアと呼ばれる部分です。
人間の体は約60兆個の細胞からできていると言われています。
これらの細胞の一つひとつは、分裂を繰り返して新しいものと作り替えられます。
ところが、困ったことに分裂するごとにテロメアと呼ばれる染色体の末端が短くなって行くのです。
このように、テロメアの部分がある程度まで短くなってしまうと、もうその細胞は分裂する能力を失ってしまいます。
すると老化が進み、ついには死を迎えることになるのです。
このように、テロメアは細胞分裂の回数、すなわち寿命を決定づける要因と考えられています。
しかし、ガン細胞や生殖細胞(精子や卵子)には、分裂の際に短くなったテロメアを修復して、
もとの長さに戻すテロメラーゼという酵素があることが解明されています。
ところが、残念ながら体を作っているその他の細胞にはテロメラーゼの存在は発見されておりません。
このように老化の研究が進歩してもヒトの最長寿命は、現在までのところ120歳ぐらいまでが限度とされています。
※中央書院刊「ビューテイ トレンド」を参考にしました。